2011年4月5日火曜日

映画:「わたしを離さないで」 伏見ミリオン座 4月4日


「わたしを離さないで」
原作の本は、あらゆる書評に取り上げられた本。私も昨年読みました。
今回映画になって感じたのは、小説では半分透明な存在だった主人公たちが、リアルな肉体を持った存在になったということ。そのため、読んだとき感じた「自己の存在理由」「自己と他者」「私達はそこから来てどこへ行くのか」というような普遍的問題意識より、主人公たちの過酷な運命に感情移入してしまうということ。
「静謐」という表現がぴったりな子ども時代のヘイルシャムの様子や、3人での海辺への旅行は、とても美しく、匂いや風に動きが伝わってきます。また、主人公キャシーの曖昧な表情は(感情を顕著に表すのは2~3回しかない)、昔の日本映画のヒロインたちを思い出させます。この主人公とは対照的な存在がシャーロット・ランプリング演じる校長先生。小説でも鍵を握る存在です。
イギリス映画の持つ突き放した残酷さも併せ持つ作品です。
また、原作を読み直してみようと思いますが、原作では、「テープ」ってもっと大きな存在だったよね?

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