2011年11月29日火曜日

コンサート:「フィルハーモニック・ヴィルトゥオーゾヴィルトゥオーゾ・ベルリン with 川久保賜紀」愛知県芸術劇場11月29日(火)18:45~


プログラム
C.P.E.バッハ:シンフォニア第3番ハ長調 Wq.182-3
A.ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲「四季」より“夏”“冬”
J.S.バッハ:2つのヴァイオリンのための協奏曲ニ短調 BWV.1043
G.ロッシーニ:歌劇「どろぼうかささぎ」序曲
O.レスピーギ:リュートのための古風な舞曲とアリア第3番
G.ロッシーニ:弦楽のためのソナタ第6番ニ長調
アンコール:カール・ジェンキンス「パラディオ」

弦5+チェンバロ+ソリストの前半、後半は弦5の演奏。
「シンフォニア」は初めて聞いた曲。「四季」は今年は初めて。バッハのドッペルの第1楽章は、娘がさんざん弾いた曲ですが、私は第2楽章が好き。後半の「どろぼうかささぎ」は、今年は「機械じかけのオレンジ」で?(汗)回聞いてしまいました。レスピーギも娘が弦楽を習っていたころ演奏した曲。これはオーケストレーションがとても上手くできていて、和声が美しい。娘はセカンドバイオリンだったので、内声部の面白さを実感したそうです。最後のソナタは、ちょっとモーツァルト風の軽快な曲。今回はこれが1番好きでした。
出来ればもう少し小さい会場で聞きたかったです。

本:『ふしぎなキリスト教』橋爪大三郎×大澤真幸(講談社新書)


腰帯に大きく書かれた「日本人の神様とGODは何が違うのか?」が示す通り、「神様」と「GOD」は大きく違うらしい…というのは、大学時代の専攻がキリスト教美術だったので「うすうす」感じていたことです。でも、はっきり言葉で説明できなかったし、結構こういう基本的なことは誰も教えてくれない-質問するのも憚られる?-。この本は「子ども相談室」なみの判りやすさで、夏休みに楽しく読むことができました。
ついでに付け加えるなら、9月にNHKで放送された「疾走する進化論」も中々興味深く見ました。
「判り易」=「単純化」になるので、そこは気をつけて読まなければいけませんが、日本人にとって「神様=おすがりするもの」という感覚なのに対して、「神様=契約者」という捉え方は「確かに」と思います。でも、西洋人にとっても「GOD=おすがり」という感覚はあると思う。だって映画「オーケストラ!」で一番笑えたのがガチガチの共産主義信奉者が最大の危機に直面した時思わず漏らす「ああ、神よお助けください」だったから。思わず「宗教はアヘン」じゃないのかよと突っ込みを入れたのでしたが、多分それを狙った演出でしょう。「神様」も「GOD」も、歴史が古く、、解釈もわけのわからなさも複雑にからみあっていて、解きほぐすのはとても難しいものですね。エンタメの本として読むと楽しい。
ところで、日本史を習うと仏教は聖徳太子が導入→奈良仏教→平安仏教→鎌倉仏教と、政治がらみで仏教の歴史を結構習いますが、ヨーロッパやアメリカではどうなんでしょう??フランスでは公教育は宗教と分離が原則らしいですが…。
仏教と同じように、当然キリスト教にも分派は多くあり、それぞれ少しずつ教義の解釈・大事にすることが違うらしく、そのあたりを「教養」として知りたいと思っていたことがありました。でも、教えて頂くチャンスが無くて…残念!

2011年11月20日日曜日

展覧会:「国宝 源氏物語絵巻に挑む-東京藝術大学 現状模写- 徳川美術館 11月20日(日)





徳川美術館には「源氏物語絵巻」が所蔵されています。今回の展覧会は、平成15年から東京藝術大学が取り組んできた「現状模写」(見たとおりに写す)作品の一挙展示。そして、オリジナルの特別展示。
オリジナルは勿論素晴らしいのですが、「現状模写」に挑んだ方々の言葉が面白いです。様々な工夫や、オリジナルと対峙した時、どんな気持ちになったかということ、一文字に1時間、1センチ角を写すのに1日という気の遠くなるような制作過程…。今回の展覧会は、クラシック音楽のコンサートに近いものを感じました。所謂、「展覧会」とは違う美術の有り方を知ったように思います。

2011年11月16日水曜日

本:『ピエタ』大島真寿美(ポプラ社)


半年ほど前、本屋さんの店頭で表紙を見て気になった本。作者は良く知らなかったのですが、「yom yom」に載った短編は好きでした。図書館で予約。
結構好みの小説ですが、ストーリー的にはかつての少女マンガ的要素が多くあります。あまり多くを語らず、それでいて深いところで繋がっている友情なんかがね。主人公を始め、登場人物の存在感がすべて紗がかかったように「うすい」-多分意図的-。その中、既に死んでいる人のみが輝く。アドリア海の奥に位置するヴェネツィアの海に立ち込める靄に浮かぶ幻想…。そんな印象です。
物語の中で重要な位置を占める音楽家ヴィヴァルディは、音楽を学ぶ人間には馴染み深い人ですが、その人となりを扱ったものをしっかり読んだことはありませんでした-映画「レッド・ヴァイオリン」にちょっこっと出てきた-。重要なモチーフである〈l'estro armonico〉は、娘もさんざん弾いた曲ですですが、この小説を読んでから聴くとまた違った思いが湧き上がるかも。
ピエタというのは主人公たちが育った慈善院の名前で実在した施設ですが、「ピエタ」はイタリア語で「慈悲」「愛憐」を意味し、美術では「キリストの死体を抱え哀悼するマリア」の像を指します。主人公を始め登場する多くの女性たちは、ヴィヴァルディの死を心に抱き、哀悼のうちに歳を重ねているのでしょうか。

2011年11月13日日曜日

コンサート:「パヴェル・ハース弦楽四重奏団」しらかわホール11月12日11:00~

プログラム
パヴェル・ハース:弦楽四重奏曲第1番嬰ハ短調op.3
ドヴォルザーク:弦楽四重奏曲第12番ヘ長調op.96「アメリカ」
シューベルト:弦楽四重奏曲第14番ニ短調op.810「死と乙女」
アンコール ベートーヴェン:弦楽四重奏曲op.130より「カヴァティーナ」

チェコの若手弦楽四重奏団の演奏会。とてもエネルギッシュで良い演奏会でした。弦楽四重奏の持つ絶妙な和音の響きが綺麗!ダイナミクスも素晴らしく、音が大きくなっても小さくなってもハーモニーは乱れることが無い。ステージから音が波のように押し寄せたり引いていったり。聴衆の身体全体を音が包み込みました。
特にシューベルトは立体的な仕上がりで良かったです。名曲ですよね!

2011年11月11日金曜日

展覧会:「ルドンとその周辺-夢見る世紀末展」

「ルドンとその周辺‐夢見る世紀末展」美術館「えき」KYOUTO
日曜美術館で紹介されていた展覧会が京都に巡回。岐阜県美術館所蔵品なので、テレビで紹介された時は「岐阜に行けば観れるんだし…」と思っていました。でもよく考えたら、「所蔵」しているからと言って「常設」にはなっていないこともよくあるんですよね。ということで、これは「チャンス」と予定には入っていませんでしたが鑑賞。
これはとても「静かな」展覧会でした。じっと見つめていると吸い込まれそうになる作品も多数。決して派手な絵ではないのですが、どこか深いところで響くように思います。「ヴィンタートゥール・コレクション」で見た「読書する修道僧」もルドンの作品でした。印象派とほぼ同時代の人ですが、作風は随分違います。

2011年11月10日木曜日

展覧会:「ワシントン・ナショナルギャラリー展」

京都に出かけましたので、岡崎の京都市美術館へ。先月までにやっていた「フェルメールからのラブレター」は満員と聞いていました。こちらは…?
日本人に大人気の印象派の絵画。今回の展示の中で一番気に入ったのは「オペラ座の仮面舞踏会」(マネ)。中央の女性の黒のドレス、取り巻く男性たちの黒の燕尾服とシルクハットのつややかさが印象的。「カルメン・ゴータン」(ロートレック)も小さい作品ですが強いメッセージを感じます。可愛いので「お買い上げ」したくなったのは「川岸」(シスレー)。色と言い、アヒルの形と言い、文句なく「カワイイ」です。

2011年11月6日日曜日

本:『かのこちゃんとマドレーヌ夫人』万城目学


『かのこちゃんとマドレーヌ夫人』(万城目学)ちくまプリマ―新書
万城目は初読。文体は好みです、すらすら読めました。特に小学校1年生の「かのこ」の気持ちが楽しい。ただし、これって例えば高野文子の漫画の主人公とか、少女マンガではおなじみのキャラクターかもしれません。
全体に前向きなところが良いと思うのですが、この本は一体どんな読者を想定しているのか…?図書館での分類も結構謎ですよね…。

2011年11月4日金曜日

コンサート:「マレイ・ペライア ピアノ演奏会」しらかわホール11月3日(木・祝)15:00~


プログラム
バッハ:フランス組曲第5番ト長調BWV816
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第27番ホ短調op.90
ブラームス:4つの小品op.119
休憩
シューマン:子供の情景op.15
ショパン:プレリュード第8番嬰ヘ短調op.28-8
     :マズルカ嬰ハ短調po.30-4
     :スケルツォ第3番嬰ハ短調op.39
アンコール
ショパン:12の練習曲より「別れの曲」ホ長調op.10-3 嬰ハ短調po.10-4
シューベルト:即興曲変ホ長調po.90-2

ピアノ独奏の静かな演奏会。前半のドイツものは、きっちりとした構成が気持ち良かったです。後半のロマン派ものは、流れるような演奏が心地よい。音量も会場に合っていて、癒されるひとときでした。

2011年11月3日木曜日

コンサート:「佐渡裕指揮 ベルリン・ドイツ交響楽団withエフゲニ・ボジャノフ」愛知県芸術劇場11月1日(火)18:45~



佐渡裕指揮 ベルリン・ドイツ交響楽団withエフゲニ・ボジャノフ 11月1日(火)18:45~
プログラム
R.シュトラウス:交響詩「ドン・ファン」op.20
ラフマニノフ:ピアノとオーケストラのための「パガニーニの主題による狂詩曲」op.43
アンコール ショパン:ワルツ5番
ベートーヴェン:交響曲第7番イ長調op.92
アンコール ブラームス:ハンガリア舞曲5番

どの曲も「超」がつく有名曲。それでも、ラフマニノフの「パガニーニの主題」を生で聞くのは初めての経験だし、ベト7は久しぶり。
指揮者の名前で客の呼べる日本人指揮者は片手で足りますが、佐渡裕は、3本の指に入る人でしょう。会場も、満員でした。
演奏ですが、好みは分かれると思いますが、良くも悪くも「今」を感じました。R.シュトラウスはよくわからない曲なので置いておきますが、ラフマニノフは思い入れたっぷり。ジャズの演奏みたいに感じました。ベト7は、「のだめ」で有名になった曲ですが、今回も元気いっぱい。ノッテいるといえばノッテいるのかもしれませんが、ちょっと速くない?
本日のコンサートの全体感想は「三谷幸喜の芝居を観た時と同じような感じ」ということ。つまり、「今風」で「判りやすくて」て「ちょっと薄っぺらい」です。悪くはないが、スッキリ爽やか、会場を後にしたら忘れそう…。
会場で印象残ったのは、休憩時間に会場内でパンフの引き売りをしていたこと。お芝居ではよく見かけますが、コンサートでは初めて!ご年配の聴衆が多いからサービス(?)なんでしょうか?