2017年10月24日火曜日

本:『平家物語 古川日出男訳』『平家物語 犬王の巻』古川日出男(河出書房新社)

『平家物語 古川日出男訳』
平家物語は子どものころ子供向きに抄訳されたものを読んだ時から心惹かれる物語でした。今回873ページにわたる現代語訳を読んだのですが、特に心惹かれるのは「和歌」の部分ですね。和歌を交わしながら心を交わすという雅な世界が美しい。
また、この物語は大変教養が必要というか、様々な故事来歴が入れ子のように物語れ、「ですから、こういうことが言えるのです」と解説されるのにもびっくり。
一体読者はどんな階級の人々だったでしょうか?訳の底本は語り本系のものともこと。思わず声に出して読みたくなる部分もあります。いにしえ、この語りを聞いたのは誰だったのでしょう?と想像してしまいました。

『平家物語 犬王の巻』
『女たち三百人の裏切りの書』は源氏物語を下敷きとした物語でしたが、こちらは『平家物語』後日譚の体。『女~』よりずっと読みやすかったです。音・言葉・美しさが入り混じる世界が描かれています。最初に水底から現れる剣の魔力の光がその美しさの源でしょうか?
松本大洋の装画が魅力的!



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