『火の山-山猿記 上・下』津島佑子(講談社文庫)
再放送が始まった朝ドラ「純情きらり」の原作本。というより、芥川賞候補になった石原燃のお母さまの作品であり、太宰の妻石原美智子の家の物語。
以前読んだ『血脈』(佐藤愛子)もそうでしたが、いやぁ、一筋縄でいかない家ってたくさんあるんですねぇ。というか、明治・大正・そして昭和30年あたりまでは、こういう家が当たり前だったのか…とも思ったり。『血脈」は、男を中心にその周りを女が彩る一家でした。この有森家は、もちろん初めは父親ですが、その男の周りにいる女たちの生き方が、それぞれとても印象に残ります。クロニクルを語る多くの語り手たちの眼差しが様々で、重層的です。狂言回しの勇太郎さんのいかにも頼りなげな末っ子繰り上げ長男ぶり、強力な姉たちの人生は、「昭和そのもの」なのでしょう。
とっても分厚いですが、引き込まれる作品です。
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