2024年7月10日水曜日

本『存在のすべてを』塩田武士(朝日新聞出版)

『存在のすべてを』塩田武士(朝日新聞出版)
この作者の小説は『罪の声』を読みました。新聞記者らしい丹念な調査を感じます。そして「子ども」に対する目線が暖かいです。ちょっと冗漫な感じもしますが、読後は人の持つ暖かさに満ちているという感じ。芸術の世界も、日本では「お師匠さんと弟子」という感覚が残っているというのは確かにそうだと思うのですが、ここまでかしら?とも思う。リアリズム絵画も持つ力は確かにそうだと思うし、表紙の野田弘志さんの絵は、その静謐な吸い込まれそうな印象が、小説世界と一体となっていて素敵です。ホキ美術館にはいったことがないのですが、是非、足を運びたいと思いました。現代の写実絵画ではありませんが、西洋美術館に所蔵されているデンマークの画家ハンマースホイの作品を思い出しました。多分それよりさらに写実的で鑑賞者の中に入りこむ作品群に出合えそう。

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