西のはて年代記Ⅰ~Ⅲ
図書館で単行本を発見したのは結構前。文庫になったのも数年前。この夏の観劇の移動中の読書ということで、ようやく全4冊の文庫を読破しました。
『ギフト』
これは、さらさら読めました。少年の内面を描いた作品で、ドラマはありますが、少年の目・思いを通して描かれるので、調節的というより薄い紗の幕越しにドラマを感じていきます。どこかせつなく遠い出来事として俯瞰して感じる作品でした。
『ヴォイス』
この作品では、人より場所が印象に残ります。現実にあるようで人の心の中にあるような場所。
『ゲド絵戦記』でも第2部は主人公が女性でやはり場所がとても意味がありました。
『パワー』
このが一番冒険ものというか、めまぐるしく展開する物語です。漂泊する魂が行きつくところが静かな学問の場所というのが寓意的です。
ル=グインの作品は好きでかなり読んでいますが、SFに分類される作品でも所謂ハードSFではなく、観念的な作品がほとんどです。図書館という言葉にふさわしい作品群なので、大衆的な魅力はあまりないかも…。でもたくさんに人に読んで欲しいですし、物語のうちに秘められた思想を感じ取り、ずっと考え続けていきたいと思います。
このシリーズ、単行本の表紙は有元利夫の絵なんです。文庫になったら…残念!
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