『つかこうへい正伝』長谷川康夫
つかの舞台を始めて認識したのは77年教育TVで一部放送された「戦争で死ねなかったお父さんのために」でした。でも当時は劇場に足を運ぶことはありませんでした。
初めて舞台を観たのはつかこうへい事務所が再開された90年以降。「熱海殺人事件・オーソドックスバージョン」でした。自分の中にある色々な負の感情を呼びさまされ、結構ショックを受けたのを覚えています。その後、熱海は色々なバージョンを観ました。他の作品も観たのですが、この本を読んで「ああ、70年代のつかの舞台を観ておくべきだった」と強く思いました。そしてつかという人の 複雑さを思いましたし、彼を一言で言い表すのは難しいとは思いますが、本書で述べられている「彼って利にさとい人だから」という一言は、本質をズバリ言い当てた言葉と思いました。
「利にさとい」と言う言葉は、普通良い意味には使われないとは思いますが、自分だけでなく自分の周りにいる人達のために働く・動く・活動する・表現するという意味で、皆が求めているものを作るつかという人を表す言葉だと思いました。
70年代が持っていた日本の熱気が生み出したし一つの舞台芸術のありかたとしてのつかこうへい。今の時代は、どんなものを生み出していくのでしょうか。
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