『本を読むひと』
とある雑誌の書評を読んで図書館で予約しました。新潮クレストブックスの1冊です。
文字を持たない人々に本を読み聞かせるという行為が作り出す人間関係を描いた作品ですが、ただ単に「本って素晴らしいよね」という話にはなっていません。
個人的には、本よりも「たき火」に強い印象を受けました。毎日の生活の中で生まれるあらゆるものを燃やし煙として浄化するような(決して綺麗なたき火ではないのですが)風景を思いました。それは言葉より強いとも思うのです、司書のエステール自身、そのたき火にひかれて毎週通ったのではと思ったり…。結末もハッピーエンドではなく、そこがフランス的なのかしら??とも思いました。
いわゆるエンタメ文学ではないので、辛くなるところも多いですし、きっちり「収まる」話でもありません。でも、何か心の中に「種」を落としていってくれる物語でした。
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