2011年12月9日金曜日
舞台:「ノーアート・ノーライフ」ナイロン100℃37th SESSION 市民会館プルニエホール 12月7日(水)18:30~
「ノーアート・ノーライフ」 た-31
ケラの作品は好き。「理系の人」っていうか、きちんと腑に落ちるのです。訳の分からないところが無く、べたべたしたところも無い。この作品は10年ぶりの再演とのこと。再演しようと思うということは、それなりに「良い作品」と考え、かなり苦しい(?)日程だったのですが、娘と観劇しました。
70年代のパリに集う(吹き溜まる?)自称芸術家の日本人たちのシットコム風の話。かみ合わない会話や、それぞれのキャラのこだわりが笑いを誘い、楽しめる作品でした。でも、最後もっと「オチ」が有るのかと思ったら、わりとそれは普通で、近年のケラの作品にある笑いの中の冷たさ・観客に返ってくるうすら寒い刃みたいなものが無い作品でした。エンタメ系作品となるのでしょうか。
それにしても、先日の「その妹」と同じような「ダメ男の集まり」なのですが、あちらは「高踏派」というか「なぜ世間は私たちの才能を認めない」と嘆くのに対して、こちらの登場人達の若干「申し訳ありません」が入ったいい加減な世渡りは、やっぱり時代のせいでしょうか。それはそれで面白いですが。
70年代を知っていればより面白く見られますが、知らなくても「こういう人種」は今もたくさんいますから、皆さん楽しめるようです。後ろの席の若い男の子が、いちいち「いやいやいや」とか「そうじゃないでしょ」とか登場人物のせりふに突っ込みを入れていたのも、そういう反応を感じているんだいうことが判ると共に、「観劇の時」に声に出して突っ込みを入れるという世代の登場-今までは、思っても普通は声には出さないよね、リビングでTVを観てるんじゃないから、PCでニコ動見てるんじゃないから、劇場では他人と空間を共有しているんだから-が、この作品世界と連動していて興味深かったです。
できれば、笑う観客の「梯子を外す」というオチにしてもらうとさらに楽しめたと思うのです。
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