2012年8月22日水曜日

展覧会:「ボストン美術館 日本美術の至宝展‐前期」 名古屋ボストン美術館


 「ボストン美術館日本美術の至宝展‐前期」
日本美術は、近しいようで遠い存在(大学時代の専攻が、キリスト教美術だったせいか??)今回は、イヤホンガイドも借りて、ゆっくり鑑賞しました。

平治物語絵巻「炎上」
絵巻物は、その物語は子ども頃から好きでした。しかし、絵巻物の見方を知らなかったので、その楽しみ方がよく判りませんでした。大人になってから、絵巻物の拝見の仕方、その流れるような話の進み方を知って、随分楽しめるようになりました。今回展示されている「平治物語」は、現在放送中の大河ドラマと同じ世界。わー、絵巻物って、ドラマなんですよね。それも、自分の好みのシーンを静止画像でじっくり見つめることができるという素晴らしさ。侍女にストーリーを読んで貰いながらこの絵巻をじっくり眺めたい。読み聞かせの原点ですよ!

長谷川等伯「龍虎図‐虎」
長谷川等伯「龍虎図‐龍」

長谷川等伯は、東京国立博物館での展覧会でも拝見しました。彼の人生はとても興味深い。元々は能登の武家の出身で 、都に出てからは秀吉という天下人と挟んで狩野永徳とライバル。そして、後継ぎと頼んだ息子に先立たれ…と、波乱万丈の人生。
日本の古典的芸術家と言うと、雪舟みたいな宗教世界の超越者とか、蕭白にみたいな世捨人的人生ってイメージが強いのですが、大概の絵描きは支配者に保護され、そのパトロネージュの下、大作を仕上げていたはず。描きたい絵をかくために、描きたくない絵も描いたはずだし、お金も欲しい、名誉も欲しいという気持ちだってあったはず。ヨーロッパ絵画では、そういう画家の有り方が結構解明されているのですが、日本では中々説明がなされていません。
長谷川等伯って、なんとなくレンブラントを連想するんですよね。大河ドラマって、「武家」の話がほとんどですが、こういう時代の荒波の中で生き抜いた芸術家の人生を描くのもアリだと思うんですよね。まずは、歴史小説家に、「物語」を書いてもらわなければ!と思うのです。


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