2012年10月17日水曜日

本:『少年は残酷な弓を射る』(上・下) ライオネル・シュライヴァー(イーストプレス)


















 『少年は残酷な弓を射る 上・下』ライオネル・シュライヴァー(イーストプレス)
7月に観た映画の原作。主人公エヴァが夫のフランクリンに出す手紙という形式の一人称文学。 ですから、すべての視点がエヴァの視点。過去も現在も息子の事も娘のこともあの「事件」のこともそれに到るすべての事象が、彼女の視点で語られる。客観的に語られるわけではないので、多分様々なことは歪んでいる。でも、私たちの世界はすべて自分を通してしか見えない訳で、そういう意味ではすべては歪んでいる。主人公エヴァは、女性から観ても好感は持てないところが多い人ですが、自分の気持ちに正直であり、雄々しいところがある人。そこはこの作品の救い。
それにしても、いろんな出来事すべて「卵が先かニワトリが先か」ということになると…です。「愛」「悪」を巡る家族の闇は深い。「リチャード三世」を観た後なので特に感慨深い読書となりました。



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