「トロイアの女たち」
学生時代、岩波ホールでキャサリン・ヘップバーン主演の映画を見ました。もしかすると、ギリシャ悲劇に触れた最初?色黒映画だったと思うのですが、中々インパクトが有りました。
今回の舞台は、15人のコロスがそれぞれ5人ずつ日本人・ユダヤ人・パレスチナ人となっており、コロスのセリフがすべて3つの言語で繰り返されました。 コロス以外の配役は振り分けられており、これは一人が演じるので、セリフは1回。
その効果も有ったのか、主演のヘカベとコロスの物語と感じました。力強さ、嘆き、怒り、諦め、言葉と心の一体性と乖離、それらすべてが、ヘカベとコロスから生まれていました。
蜷川作品としては、夏の「トロイラスとクレシダ」の続きの話とも取れるのですが、シェイクスピアの持つロマンシズムは、この作品には無い。廃墟に佇む辛さが身に沁みる作品です。
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