『身の上話』
NHK火曜よる☆ドラ「書店員ミチルの身の上話」の第1回を見たら-なんだか豪華な出演陣だったので「お試し」で見た-、エンドロールに、原作佐藤正午『身の上話』と出ました。なんだか訳の分からないもやもやが有りそうな話だったので、その場で即、図書館に予約。この深夜の時点では、所蔵23冊中、約1/3が貸出し中、残りは在庫。当然「予約番号1番」を獲得しました。そして、2日後、「来ましたぁ」のメールを受けて予約状況を調べたら、なんと全部貸出し中で予約4。おお。これは早く借りて読んで返却せねば!
大急ぎで図書館に出かけ、帰宅後、大急ぎで読みました。
この文体、直ぐに思い出しのは、白石加代子さんの「阿部定事件調書」や清水義範だったと思うのですが、色々な人がある事件を「共述調書」でのべるというスタイルの小説。誰かに「この話を聞かせねば」という視点があるのです。
その文体と、主人公の主体性の無さが、起こる事件のリアリティを 読み手に感じさせない。多分、この「他人事」が作者の狙いなんでしょう。「土手の柳は風まかせ」という言葉が、都合の悪いことは「無かったこと」にする、経験を活かすということを考えない、どんどん巻き込まれ、流されていく主人公の人生を表していました。
「もっと考えて行動しろよ!」と突っ込みを入れるのは簡単ですが、その頼りなさ事態は妙にリアリティがあって、主人公の影がどんどん薄くなるのも面白い。時に新聞の社会面をにぎわせる「どうして?」と思う事件も、こういう流れなのかも…。
あ、ドラマは2回目以降見損なっています。
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