『土の記 上・下』高村薫
高村薫は、『マークスの山』を読み、それから何冊か読んだのかしら?
今回、この本を選んだのは、実は東京の電車の中で隣に座った方が読んでおられたから。なんとなく目に入った本文に「奈良」とか「宇陀」とかが見えたのです。そして書名も。
久しぶりに高村薫を読むことにしました。
最初の10ページくらいは、何が何だかわからないのですが、そこを乗り切ると面白くなってきました。地方の-それも代々人が住んできた田舎-暮らしの緩やかに流れる時間、自然の動き、息苦しいような世間の狭さとそれゆえの安住、客観的でありながら主観的に動く毎日の生活…。主人公が学生時代に作成した土壌標本モノリスが示すように、人もまた毎年何かを積み重ねて生きているのでしょう。土地に根差すことの意味を考えました。映画にならないかしら?
高村薫の三部作も読んでもよいかもと思いました。
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