『壺中に天あり獣あり』金子薫(講談社)
迷宮の中を廻る男は、いつしか迷宮の中のホテルで一つの「世界」を作っていくようになり、そこへブリキの動物を作る女がやってくる。「世界」はある種の豊かさで満たさるようになるが、それはいかんせん偽物の豊かさなのか?
どこまでいっても「ぐるぐる回り」という物語のスタイルはこの作者のもの。「世界」は言葉に通じて、作者も読者も行きつくところを探しながらどこまでも旅していく必要が有るようです。この行きつかない無限性を、閉塞感と感じるか、限りない広がりを感じるか。そこが分かれ目でしょうか。
主人公の選択は好き。
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