2025年8月27日水曜日
本:『大きな鳥にさらわれないよう』川上弘美(講談社文庫)
『大きな鳥にさらわれないよう』川上弘美(講談社文庫)
ブッカ―賞の候補になった作品。確かにブッカー賞的な作品です。はじめは短編集かと思ったのですが、短編連作で長編になっている作品です。川上さんらしいSF的な設定ですが、初源的な問いかけを扱っているように思います。うまく言葉にできないのですが、私たちはどこから来てどこに行くのかということでしょうか。抒情的でありながら理性的。いいですよね、この物語。もう一度ゆっくり読み返したいと思います。
展覧会:「江戸☆大奥」 東京国立博物館 8月22日(金)昼
江戸☆大奥
8月NHKの「大奥」が再放送されているとのこと。そのためか、会場に入ってすぐはドラマで使われてる衣装の展示が!とっても綺麗です!そして江戸時代の大奥の主人で会った「御台所さま」たちの説明があります。結構絵が残っているんですね。巻物になっている日常生活なんてのもありました。やっぱり圧巻は、使われていたお道具類でしょうか、そして「掛袱紗」です。贈答品を送るとき使われた「掛袱紗」。季節に応じて、また目的に応じて作られたようですが、実際には何度使われたのでしょうか?豪華な日本刺繍は絵画のようで(絵画以上!)見飽きません。再現に取り組まれたとのことですが、この技術の伝承はとても大事なことなのでしょう。どうぞ途切れず伝えられますように!
会場最後の坂東美津江の歌舞伎衣装も見事。制作のお金は大奥の女性たちが出したのでしょうが、それを寄付した方々も素晴らしいと思います。一番右の着物は「関の戸」の衣装とのこと。「国宝」を思い増しました。
舞台:納涼歌舞伎第2部 第3部 歌舞伎座 8月21日(木)14:15~ 18:15~
納涼歌舞伎第2部
「日本振袖始」
「火の鳥」
納涼歌舞伎第3部
「越後獅子」
「研ぎ辰の討たれ」
第2部は「ファンタジー作品」です。日本の神話とロシアの昔話。どちらも美しい。特に「火の鳥」はなんだか玉三郎さんの遺したい美しい世界と伝言みたいに思いました。音楽も吉松のメロディアスなピアノコンチェルトなので、余計この世ならぬ彼岸の世界を思いました。
第3部はイケメンの越後獅子からスタート。そしてお待ちかねの「研ぎ辰」。勘三郎の襲名公演で拝見して、とても印象に残った作品。勿論今回も演出は野田秀樹。畳みかけるような怒涛のセリフが楽しい、そして民衆の移り気と残酷さに彩られた世界。これは此岸の世界です。役者さんはとても楽しそうに演じている。親から子へ芸は繋がっていきます。世代を超えて芸は生きる。
会場内に飾られた団扇です。ちょっと欲しいかも…
2025年8月15日金曜日
本:『ババヤガの夜』王谷晶(河出文庫)
『ババヤガの夜』王谷晶(河出文庫)
英国のダガー賞翻訳文門受賞作。これは「映画」になりますね。作者自身映像を意識して書いたとどこかで述べられていました。スピード感、そして目に浮かぶような描写と身体にズンとくるような圧力。それでいながらどこか遠い世界の出来事のような非現実感…。とても面白い。短くまとまっているのも余韻があっていい。大友克洋と荒木飛呂彦の漫画の世界です。そして「シスターフッド」の信頼感。40年の流転生活は描かれないけれど、きっと安らかで心穏やかな日々だったと感じることができます。
2025年8月8日金曜日
2025年8月7日木曜日
本:『記念日』青山七恵(集英社)
『記念日』青山七恵(集英社)
書評を読んで図書館で予約を入れたような…かなり待たされたので「予約したきっかけ」を忘れてしまいました。ということで読みましたが…。文章はうまいと思うのですが、登場人物に感情移入できないというか、自分の中にない特性を持った人々ばかりで、理解に苦しみました。後味は悪くないので、この作者のはまた読むかも…?
2025年8月3日日曜日
本:『文楽にアクセス』松平盟子著(淡交社)『あやつられ文楽鑑賞』三浦しをん(双葉文庫)
『文楽にアクセス』『あやつられ文楽鑑賞』
文楽入門書として数年前に読んだのが『文楽にアクセス』、今回図書館で偶然見つけたのが『あやつられ文楽鑑賞』です。どちらも文楽の魅力を伝えてくれますが、『~アクセス』は中立的というか、演目の解説も丁寧で「ふむふむ」と読めますし、鑑賞前に読んでおくと物語が良くわかります。その比べて『あやつられ~』は、さすが作家さんだけあって、思い切り個人の出張が前面に出ていて、なおかつ「そうじゃ~!」とこちらが納得する解説です。どちらの本にも登場する勘十郎さん燕三さん織大夫さん、両書が出版されてから10年以上が経ちますが、今の文楽を背負っていらっしょる方々です。9月も、「文楽にゴー!!」です。
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