2020年6月29日月曜日

本:『密やかな結晶』小川洋子(講談社文庫)6月読了

『密やかな結晶』小川洋子(講談社文庫)
米国で翻訳され、イギリスのブッカー賞候補になったということで、読みました。
1994年出版の作品とのことですが、作風は今と変わっていないというか、とても静かな世界なのに通奏低音のように流れているものはしっかりしていると感じます。
文庫なので、作者にとって「アンネの日記」は特別な本との解説がついていましたが、確かにどこかあの世界を思わせます。ひっそりと棚や引き出しの片隅にあるものを愛おしく感じ、思い出・記憶がどれだけ大切なものかを思います。


舞台:「未練の幽霊と怪物 上演の幽霊」神奈川芸術劇場オンライン上演 6月27日(土)16:00~

「未練の幽霊と怪物 上演の幽霊」
岡田利規の作品は、いつも気になる・この作品も本来は劇場で見る予定でした。でも早々に上演中止に。この度オンラインで復活というか、多分、出来上がりは全く違ったものなのでしょう。
「俯瞰で劇場を観る」というか、通常の劇場中継―無観客のものも-とは違い、とても興味深かったです。岡田作品にある「のぞき見」というか「喫茶店や駅で、ぼんやりと見ず知らずの隣の席の人の話を聞く」という 形にぴったりという感じがしました。日常とガラス戸今1枚隔てて隣り合わせた異世界という装置も、「夢幻能」というスタイルに合っていたと感じました。
以前より感じていたことですが、岡田作品は「芝居」というより「美術作品のインスタレーション」に近いと思うんです。今回のオンライン上演は、まさに美術展のインスタレーションーまぁ、美術展のは長くても20分くらいですが-。箱庭的なセットの作りといい、プロジェクションマッピングの上演方法といい、とてもスタイリッシュでした。
でも、実際の舞台での上演も観たいですよねぇ。役者さんの動きも違ってくると思うので、多分、また違った印象を持つと思います。


風景:昆布

昆布
我が家のちびさんたちは「昆布好き」。とろろ昆布をかけたご飯をもりもり食べます。
ということで、漸く行くことが可能になったお見舞い・帰省の土産は「昆布」。



風景:ネジバナ

ネジバナ
園芸種としても買うことができますが、公園の芝生でも生えているのを見かけます。
我が家では、どこからか飛んできたもの。それが、いろんな鉢で増えています-地植えにはならない…どうして?ー。
この写真のものは、一つの鉢にいくつかの株が有るわけですが、今年は13本の花が伸びました。右巻き、左巻き、色々です。多年草ですが、いつまで「多年」なのかはわからりません。花が咲き続けている間、楽しみましょう。


2020年6月18日木曜日

風景:トキワツユクサ

トキワツユクサ
こちらも近くの学校の北側フェンスに生えてます。白いつゆ草というのでしょうか。可憐な花です。ちょっと枝を拝借し、水に差して根が生えてきたのを、我が家の北側に植えてみました。まだ花は咲きません。

風景:ドクダミ

ドクダミ
近くの学校のフェンスにはたくさんのドクダミが。こうやって他の敷地に生えているドクダミは好き。「十薬」という名にふさわしい白い綺麗な花です。でも、我が家の庭に生えているドクダミは…抜くのが大変!


風景:キノコ 6月17日(水)午前

キノコ
雨上がりの木陰、こんなキノコが!結構大きい!近くには傘の開いたもの、倒れてしまったものも。梅雨の季節、1日しか見られない珍しいモノに出会えます。次に出会うキノコは何色?


2020年6月16日火曜日

舞台:映像で見ること

舞台を映像で見ること
この4月以来、全部の舞台観劇の予定が無くなりました。
文楽 桜の園 SPAC ジョン王 未練に幽霊と怪物 外の道
6作品8回の観劇が無くなりました。
夏・秋に向けてチケット予約をするモチベーションが下がってしまい、観劇はもちろん、地元のコンサート予約もしていません。
友人に教えてもらい、4月からいくつか映像で見ることは出来ました。

「3月歌舞伎座公演」
こちらは無観客で録画したもの。とても美しくしっかりとした作りでしたが、役者が登場しても拍手は無く、大向こうの声もかからない歌舞伎の舞台は、華やかであるだけ寂寥感も漂いました。でも、「足を運びたい」という気持ちは高まりました。

「治天ノ君」劇団チョコレートケーキ
関西の友人が教えてくれたました。記録として録画したものとのことでしたが、中々面白く観ました。この劇団には全く予備知識がなかったのですが、とてもまともというか、しっかり事実を調べて新劇スタイルでの上演をする劇団らしいと感じました。客演の松本紀保はとても素晴らしい。

「12人の日本人を読む会」
この戯曲は秀逸な物語だと再確認。サンシャインボーイズの上演は観ていないのですが、映画は何度見た事か…ですし、パルコプロデュース講演も観ました。徹底した「会話劇:としての面白さが一番の魅力。そして今回のZOOM演劇では、それぞれのアップでの演技も十分楽しめました

同じころNHKで製作されたリモートドラマがいまいちの出来だったので-第2弾は考えて作られてました-、余計に「近代・現代演劇は言葉だ」と再認識。そしてその言葉を紡ぎ出す俳優さんの力を感じました。

その他にも多くの映像が無料で提供されていましたが、やはり私にとって演劇は生で鑑賞するもの、映像は、その補強であるようです。「生が観られないから映像」というわけにはいかない何かがあるようで、あまり鑑賞することはありませんでした。
とはいうものの「過去の名作 」には触れておいた方が良いかと思い、今月末まで見ることのできる「文楽」は鑑賞予定です。



本:『不協和音』大門剛明(PHP文芸文庫) 6月読了

『不協和音』大門剛明(PHP文芸文庫)
春のスペシャルドラマになるということで予約を入れましたが、忘れたころに手元にやってきました。
短編連作の原作を読むとドラマはそれらを混ぜ合わせたものだとわかりますが、どちらも面白かったです。炎(兄)対氷(弟)と設定が、現実離れしているけどフィクションとしては生きてます。続編も可能だと思ったら、5月に「2」が出版されていました。是非、ドラマもパート2をお願いします。


本:『路(ルウ)』吉田修一(文春文庫) 6月読了

『路(ルウ)』吉田修一(文春文庫)
NHKドラマになった物語。新聞のドラマ紹介に「名作の予感」と書かれていたので、図書館で予約しました。
ドラマの方は…そうね、「盛りだくさん」という感じでした。主人公の恋愛には…関心が持てない、新幹線事業は、そんな簡単なこと?過去の台湾の歴史にまつわる話はもっと掘り下げて欲しい、。。。。等々です。唯一興味がありエンタメとしても面白いと思ったのは、台湾の若者陳威志にまつわる物語。若い人らしい迷いや駄目さ加減や、でも前向きな純粋さが、真直ぐ続く道に象徴されいてまぶしく、明るい未来が開けるように感じました。役者さんもぴったり。
というわけで原作を読みましたが、こちらもどの話も深さが足りないように感じました。新幹線事業に特化し「企業小説」にするか、忘れられない青春の思い出に特化した「恋愛もの」にするか、植民地支配を見つめる「歴史もの」にするか、した方がよいのでは?と思ったりしたわけです。