2024年1月27日土曜日
本:『裸の大地 第二部 犬橇事始』角幡雄介(集英社)
『裸の大地 第二部 犬橇事始』角幡唯介(集英社)
角幡の先品はできるだけ読むことにしています。今回の本は「犬橇」について。ペットの犬とは違う本能に根差した働く犬とのかかわりが書かれています。彼の作品には、どこかえっつ学的考察があるのですが、その合間にあるふざけてるような文章もまた面白いです。そして今回登場する犬たちとのかかわりは、新たな一歩というか、今までの「対自己」とは違う考えが表れているように思います。今後も追い続ける作家さんですね。
2024年1月23日火曜日
本:『「雪女」、百年の伝承 辺見じゅん・木下順二・鈴木サツ・松谷みよ子そしてハーン』遠田勝(幻戯書房)
『「雪女」、百年の伝承』遠田勝(幻戯書房)
語りとして、朗読として人気の「雪女」。ストーリーテリングでは松谷みよ子さんのものが人気ですし、朗読では勿論ハーン。その「雪女」がどのように伝承されているのかを扱った本です。とても興味深く読みました。語り手は、どこかで自分なりの脚色をしてるという指摘はとても納得できるものですし、20世紀後半になると、様々は書籍やメディアの情報によって、ますますテキストのキックスが進み、そのころになると「純粋な口承」は無くなってしまったというのは、とてもうなずけることです。そして、著者の専門であるハーン研究の面白さを感じました。また再読したいものです。
2024年1月22日月曜日
舞台:初春文楽公演 第2部「伽羅先代萩」第3部「平家女護島」「伊達娘恋緋鹿子」国立文楽劇場 1月16日(火)14:30~
第2部「伽羅先代萩」
物語としては…好きじゃないかも。ままたきとして有名な場面もね。ただ最後の床下の場はケレンとして面白かったです。大鼠を人が演じているので、ホントに大鼠。歌舞伎でも皆っちゃ!
第3部「平家女護島」
この演目は歌舞伎で観てます。それもこんぴら歌舞伎・18代目勘三郎主演。とても印象的でした。吉右衛門も観ました。これは一気に話が進むのでしっかり観ることができます。文楽でも義太夫語りと人形が組み合わされ心惹かれますね。
第3部「伊達娘恋緋鹿子」
八百屋お七の物語ですが、櫓に登るところは人形ならではの動きです。それにしても、義太夫物語には「お家の秘宝」がらみの話が多いですよね。今回は刀でしたが、香炉だったり掛け軸だったり…。それを巡る人々の葛藤・思い違い(というか、秘宝を巡る駆け引き?)が引き起こす悲劇が多いです。こんの幕切れはとても好き。
映画:「PERFECT DAYS」伏見ミリオン座 1月15日(月)
「PERFECT DAYS」
ヴィム・ヴェンダースの映画は好き。今回は賞を取ったことですし、楽しみに出かけました。主人公が神社で撮る木漏れ日に重なる遷ろう日々の映像が美しい。幻影とでもいうのでしょうか。また繰り返される日常風景は心にしみますね。本を読みながらガクっとなるところや、首都高速を走る車のシーンはとても好き。個人的に懐かしい人が出てくるのも嬉しい。出てくる音楽が知りたいので(題名になっているPERFECT DAYSが特に知りたい)パンフが欲しかったのですが、売り切れ。見た後、「いろいろ知りたい」という方が多い映画なのでしょうね。
2024年1月4日木曜日
本:『死んでいない者』滝口悠生(文藝春秋
『死んでいない者』滝口悠生(文藝春秋)
TVで紹介された本。とても面白い。設定自体は、映画的というか、通夜に集まった親戚や知り合いがだらだら話をする中で様々な生き方が見えてくるという物語。でも、時にシュールな場面が混じるのが面白いですし、記憶というものが不確かでありながらそれを紡ぐことで確かな人物存在の手ごたえを感じるということが描かれています。「もう死んで居ない者」と「まだ死んでいいない者」、それが交錯する一夜の不思議さを感じました。唯一共感できないのは、やたらお酒を飲むところかな?お酒に縁遠い暮らしなので…。
2024年1月3日水曜日
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