『その話は今日はやめておきましょう』井上荒野
中々、気味の悪いというか、読後感の悪い本でした。主人公の年配の夫婦が陥る状況は、とっても日常。どこにでもあるありふれた風景です。そこに入り込む若い男は、井上作品によく登場する「若者」ですが、私たちが良く知っているようで知らない不気味な存在です。 最終的には落ち着くわけですが、「解決」したわけではない。その危うさというか、不安定な感じが心のざわめきになります。
井上作品の魅力である「食」も、今回は「美味しそう」というプラスのイメージは無く、「砂をかむような不味さ」を読者に感じさせています。なんだか年を重ねることの辛さを思い、息苦しくなりました。でも、読む価値あり!
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