2010年9月25日土曜日

本:「滝山コミューン1974」(原武史 講談社文庫)


「滝山コミューン1974」(原 武史 講談社文庫)
朝日新聞の書評が載ったのが2年位前でした。それを読んだとき、かなり興味を持ったのですが、「できれば図書館で・・・」と思う本でもありました。
今年の8月再度朝日新聞書評欄で取り上げられ、文庫にもなったので購入。

これは「指の先が冷たくなる」読書でした。一気に読みました。
「教育の持つ力」をまざまざを感じさせてくれる本であり、集団がある方向に流れる仕組みの一端を垣間見せてくれる本です。
よく「今となればどうしてあんな思想が、主義が権力を握ったのか?」と歴史を振り返りますが、その渦中にある時、多くの人は善意ゆえに流れに巻き込まれることがあるということを思いました。そういうことは、いつでも-非常時じゃなくても-起こりうる。政治の場でも宗教の場でも。
そして、自分の子ども時代や我が子の小学生時代を振り返っても、小学生にとっての世界は狭い。家庭と学校がすべてと言っても過言ではない。そういう狭い世界の中で行われることは、一種の密室事件となりうる。

ドキュメンタリとなっていますが、少しずつ世界を広げつつあった著者の-塾での友人や、塾通いの途上での電車の乗車など-学区内の既知の世界と外の未知の世界の間での妄想が膨らんでいる感じがします。自分の属していた世界への嫌悪と新たに出会った新しい世界への憧れ、同族嫌悪と新しいものへの希望、これって10代・20代に顕著に表れる感情だと思います。事実に基づいたフィクションとして読んだ方が良いと思います。

「ザ・キャラクター」を見て思ったことともリンクするのかもしれませんが、うまく表現できません。

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